2019年12月23日に開催された労働政策審議会雇用環境・均等分科会(以下「分科会」)においてハラスメント関係の指針の内容が了承され、2020年1月15日に、「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(厚労省告示第5号、いわゆるパワハラ指針)と、「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」(平成18年厚労省告示第615号、いわゆるセクハラ指針)、「事業主が職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」(平成28年厚労省告示第312号)及び「子の養育又は家族の看護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針」(平成21年厚労省告示第509号)の一部改正(厚労省告示第6号)が告示されました。今年6月1日より適用されます。
パワハラ指針とセクハラ指針に関しては、11月21日から12月20日までの1か月間、パブリックコメントの募集が行われ、1139件もの意見が集まりました。12月23日の分科会での労働側委員の発言によれば、これは過去最も多い数ではないかとのことです。分科会では主な意見が紹介されており、特にパワハラの定義や「該当すると考えられる例」「該当しないと考えられる例」の記載については賛否両論であることが読み取れ、いずれにしても多くの人が期待・関心を寄せていることがわかります。
今回の労働施策総合推進法の改正により、セクハラ、マタハラ、パワハラのハラスメント3大類型の全てについて事業主が防止措置を行うべき義務が法律上明記されることになりましたが、防止措置の対象となるセクハラ、マタハラ、パワハラは一定の限界のある概念であり、今回の法改正が、これらに含まれないハラスメントも広く撲滅すべきであることを労使ともに再認識し、互いの責務を果たしていく機運が高まる機会となることに期待します。
(第一芙蓉法律事務所 弁護士 町田悠生子)