定年後再雇用者の賃金が旧労働契約法第20条(不合理な労働条件の禁止)に違反するかが争点となった裁判で、最高裁判所第一小法廷(山口厚裁判長)は基本給のうち定年前の6割を下回る部分と、賞与の一部の不合理性を認めた二審判決を破棄し、審理を名古屋高等裁判所に差し戻した。基本給と賞与の支払い目的・性質や労使交渉の経緯の検討が不十分としている。判決について元厚生労働省労働基準局長の中野雅之弁護士は「最高裁は『6割』が基準になるのを避けたかったのではないか。賃金は基本的には労使交渉で決めるべき部分が大きいということだろう」と分析した。
提供:労働新聞社
(2023年8月7日)