トラック運転者の残業代の適法性が争われた裁判で、最高裁判所第二小法廷(草野耕一裁判長)は1000万円超の請求を棄却した二審判決を破棄し、審理を福岡高等裁判所に差し戻した。通常の労働時間の賃金と残業代の明確区分性を欠くと判断している。会社は残業代として、基本給と残業時間から算出する「時間外手当」と、時間外手当額に応じて増減する「調整手当」を支給。結果的に残業の多寡によって賃金総額が変わらない仕組みを採用していた。最高裁は適法な残業代かどうかは、時間外手当と調整手当が全体として残業の対価といえるかを検討するべきと指摘。制度改定の経緯を踏まえ、調整手当には旧賃金制度下で通常の労働時間の賃金だった歩合給が相当程度含まれていると評価している。
提供:労働新聞社
(2023年3月27日)