「改正育児介護休業法に関する施行通達や規定例等の公表」

 本年11月5日、厚生労働省は、改正育児介護休業法(令和3年法律第58号)に対応した施行通達や就業規則規定例、事業主向けの説明資料などを公表しました。

 

 今回の改正法は、前回のコラムでもお知らせしたとおり、施行が下表のとおり3段階に分かれており、しかも、それぞれに、やや複雑な内容を含むことが特徴です(上記公表分は、2022(令和4)年10月1日までの施行にかかる改正に関するものです)。

 

2022(令和4)年4月1日 妊娠・出産を申し出た労働者に対する個別の周知・意向確認

育児休業を取得しやすい雇用環境の整備

 

2022(令和4)年10月1日 育児休業の分割取得

出生時育児休業(産後パパ育休)の創設

 

2023(令和5)年4月1日 育児休業等の取得状況の公表

 

 最も施行が早い来年4月1日からの改正内容に関しては、有期雇用労働者の育児・介護休業の取得要件の変更を除き措置義務のみですので、措置義務に関しては実際に措置を行えば足り、就業規則等の変更を要するものではありません。ただ、個別周知・意向確認も、雇用環境の整備も、いざ実施を控えるとイメージを持ちづらい部分もありますので、個別周知・意向確認に関しては、厚生労働省が公表した「就業規則への記載はもうお済みですか-育児・介護休業等に関する規則の規定例-[詳細版](令和3年10月作成)」の中の参考様式(個別周知・意向確認書記載例など)が参考になります。また、雇用環境の整備の選択肢の一つである育児休業に関する研修の実施については、厚生労働省の委託事業として運営されているWebサイト「イクメンプロジェクト」の中の研修動画が参考になります(今後、本年中に改正内容も踏まえて改訂予定だそうです)。指針では、2つ以上の措置を講じることが望ましいとされていますし、出生時育児休業の申出期限を2週間前から1か月前に延ばすには、ほぼ同様の選択肢の中から2つ以上の措置を講じることが必要となりますので、どれを選択するかは、来年10月の施行内容も踏まえつつ、しっかりと検討するとよいでしょう。

 

 次に、来年10月1日からの改正内容については、やや複雑ですので、まずは制度の内容をきちんと理解することが重要です。その上で、就業規則の変更や労使協定の締結、社内の届出様式の作成などの対応が必要となります。また、個別周知等の担当者や、場合によっては広く管理職一般に、やや複雑な改正内容を周知し、理解を深めさせることも重要でしょう。法文の内容は複雑ですので、就業規則例や届出様式例等に先に目を通した方が理解を進めやすい場合は、上述の「就業規則への記載はもうお済みですか-育児・介護休業等に関する規則の規定例-[詳細版](令和3年10月作成)」の55頁以下に届出様式例が、74頁に労使協定例が記載されていますので、必要に応じ参照するとよいでしょう。

 

 今般の改正内容は、複雑である上、企業の労務管理に与える影響も大きいため、なるべく早めに動きはじめ、職場全体での理解を深めていくことが望ましいと考えます。

 

五三・町田法律事務所 弁護士 町田悠生子

 

※施行通達(2022年4月1日施行分):こちら(溶け込み版です)

 

※施行通達(2022年10月1日施行分):こちら(溶け込み版です)

 

※(事業主向け)説明資料「育児・介護休業法の改正について~男性の育児休業取得促進等~」:こちら

 

※就業規則への記載はもうお済みですか-育児・介護休業等に関する規則の規定例-[詳細版](令和3年10月作成):こちら

 

(2021年11月10日)

 
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