女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律(以下「改正法」)が2019年5月29日、参議院本会議での可決により成立し、6月5日、公布されました。
女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(以下「女性活躍推進法」)は、2015年8月28日に成立し、2016年4月1日に全面施行された法律です。施行から3年経過後に、施行の状況を勘案し、必要に応じて検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものと定められたため(附則4条)、これに基づき、3年の経過を迎えた昨年度に労働政策審議会において検討が行われ、今般の改正法成立に至りました。
改正法の内容は、主に、①行動計画策定義務及び情報公表義務の対象企業を、常用労働者数301人以上から101人以上へ拡大、②常用労働者数301人以上の企業について、現在1項目以上の公表を求めている情報公表項目を、「職業生活に関する機会の提供に関する実績」と「職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績」の2つの項目に区分し、各区分から1項目以上の公表とすること、③情報公表義務違反や虚偽の情報公表に関して勧告に従わない企業に対する企業名公表の導入、④プラチナえるぼし(仮称)制度の創設、です。
改正法の施行日は、①は公布日から3年以内の政令で定める日です。それ以外は、公布日から1年以内の政令で定める日であり、2020年4月1日施行が見込まれます。
衆議院の附帯決議では、情報公表項目に関し、男女間格差の結果指標である「男女の賃金の差異」及び「セクシュアルハラスメント等対策の整備状況」を加えることについて労働政策審議会で検討すべきとされています。また、2020年までに指導的地位に占める女性割合30%の目標の達成に向けて、女性活躍推進の取組が進むよう、事業主に対する支援を強化するとともに、女性活躍推進法及び厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」を国民に幅広く周知することにも言及があります。
(五三・町田法律事務所 弁護士 町田悠生子)
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