上司への誹謗中傷などを理由とする降格処分の有効性が争点となった裁判で、東京高等裁判所(髙橋譲裁判長)は処分を無効とする判決を下した。裁判は物流アウトソーシングなどを営む会社で働く労働者が起こしたもので、同高裁は、会社は労働者の精神疾患発症を認識するのは難しかったとしても、心身の異常やその原因は処分時に認識可能だったと指摘。降格は懲戒権濫用に当たると判断した。労働者は上司との関係悪化や業務過多を再三訴えていたが、会社は改善措置を講じなかった。処分後、労働者は精神疾患で5カ月休職。この疾患は「上司とのトラブル」などが理由として裁判中に労災認定を受けた。労災認定における疾患発症日は処分前で、処分事由となった労働者の行為はいずれも発症日以降のものだった。
提供:労働新聞社
(2022年10月18日)