最新労働判例解説
目標不達成に対する劣位の評定への人事権濫用を否定
―三井住友海上火災保険事件―

成果主義の浸透とともに、制度上人事考課・評価によって処遇の差が拡大するようになり、評価をめぐるトラブルが急増しています。こうした中で、主要目標の不達成を理由とする劣位の評定の正当性が争われた事案で、人事件濫用とはいえないとする判決が出ました。目標は客観的な数値で設定されており、考課者の主観が入りやすいとは言えず、人事権濫用の事実を認めることは出来ないとするものです。
今回はこの事件を手がけられた弁護士の峰隆之先生をお迎えし、事案と判決のポイント、今後の課題等についてお話を伺います。

【重要ポイント】
１．原告に対する評定は、人事考課等を制度に基づき適用した結果にとどまるものであり、人事権濫用の事実はない。
２．目標管理制度において「自ら合意した目標」を達成できていない事実があり、評定も不当なものではない。