労働判例解説
競業他社への転職に退職金特別加算の適用除外は有効
―Y社（退職金特別加算金）事件（東京地裁平17.10.3判決）―

雇用の流動化に伴って、転職にまつわるトラブルが増加しています。競業他社への転職も急増しており、その取扱は慎重な対応が求められます。今回の事案は、早期退職優遇制度による退職金特別加算の支給をめぐって競業他社への転職者に対する適用除外条項の有効性が争われたもので、裁判所は会社側の判断が公序良俗に違反するとは言えず信義に反する特段の事情も認められないとして適用除外を適法としました。
講師としてこの事案を手がけられた弁護士の植松宏嘉氏をお迎えし事案の概要、判決のポイント、実務課題等についてお話を伺います。

【重要ポイント】
１．適用除外の範囲について、考慮事項を例示しており客観的基準を設けず全くの裁量で判断していたわけではない。
２．転職先が競業他社であるという判断が不合理であるとも認められず信義に反する特段の事情も認められない。