労働判例ジャーナル114号(2021年・9月)
■注目判例
病院勤務医の業務特定の範囲と配転命令の有効性
日本赤十字社(成田赤十字病院)事件
■ポイント
本件は,循環器内科部長であった病院勤務医に対する健診部長への配転命令につき,当該病院勤務医が労働契約上循環器内科医に業務が限定されている,または,権利の濫用であると主張して,当該勤務医が健診部長として勤務する労働契約上の義務がないことの確認,および配転命令を不法行為として,損害賠償を請求した事案である。
本件は,病院勤務医のような高度の専門職者の労働契約上の業務限定が問われたことにこれまでにない特色がある。日本の雇用慣行の影響もあり,判例は,職種の限定を認めることに消極的であることは事実である。しかし,本件の場合は,医師であり,通常の新卒採用の社員のように職種が無限定であるわけはない。本件の病院勤務医は,循環器内科医として業務が特定していると主張したのである。
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目次
◆病院勤務医の業務特定の範囲と配転命令の有効性
日本赤十字社(成田赤十字病院)事件
東京地裁(令和3年5月27日)判決
◆ パワハラ言動を理由とする懲戒解雇の有効性
社会福祉法人ファミーユ高知事件
高知地裁(令和3年5月21日)判決
◆ 違法配転命令に基づく損害賠償等請求
ダイヤモンド電機事件
大阪地裁(令和3年5月11日)判決
◆ 適応障害発症の業務起因性
国・奈良労基署長事件
大阪地裁(令和3年4月28日)判決
◆ 僧侶の合意退職無効地位確認等請求
寶清寺事件
東京地裁(令和3年4月27日)判決
◆ 整理解雇の有効性
ストーンエックスフィナンシャル事件
東京地裁(令和3年4月26日)判決
◆ 安全配慮義務違反に基づく損害賠償等請求
白鳳ビル事件
東京地裁(令和3年4月23日)判決
◆ 部下の内部告発に対する慰謝料等請求
慰謝料等請求事件
東京地裁(令和3年4月23日)判決
◆ 抑うつ神経症発症の業務起因性
国・川崎南労基署長事件
東京地裁(令和3年4月22日)判決
◆ 解雇予告手当及び慰謝料等請求
ハルメク・ビジネスソリューションズ事件
大阪地裁(令和3年4月21日)判決
◆ 不正受給行為を理由とする懲戒解雇の有効性
JTB事件
東京地裁(令和3年4月13日)判決
◆ 横領を理由とする解雇の有効性
小市モータース事件
東京地裁(令和3年4月13日)判決
◆ タクシー乗務員のクレジット等の手数料負担分等支払請求
大陸交通事件
東京地裁(令和3年4月8日)判決
◆ 特別加入者の療養・休業補償給付不支給決定取消請求
国・川越労基署長事件
東京地裁(令和3年4月5日)判決
◆ 医師の解雇・雇止め無効地位確認等請求
医療法人社団悠翔会事件
東京地裁(令和3年3月31日)判決
◆ 取引先奪取行為等を理由とする未払退職金等支払請求
ユフ精器事件
東京地裁(令和3年3月30日)判決
◆ 労務の受領拒絶に基づく未払賃金等支払請求
医療法人偕行会事件
東京地裁(令和3年3月30日)判決
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