労働判例ジャーナル105号(2020年・12月)

■注目判例

試用期間の延長の有効性

明治機械事件

■ポイント

 本件は,既卒ではあるが,初職として入社した従業員に対する試用期間の延長が無効とされ,また,解雇が無効とされた事案である。試用期間中または満了時の解雇事案は,少なくないが,試用期間を延長した上で,最終的には解雇した事案は,裁判例として珍しい。
 試用期間は,本来,現実に仕事をさせてみないと予定された能力が発揮できるかがわからないので,本採用に先立って,労働者の能力・資質等を判断するための期間である。試用期間を設けるかは,特に法的な規制はなく,企業の自由に委ねられているが,日本でも多く企業が試用期間を設け,その期間は3か月が最も多い。

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目次

◆ 試用期間の延長の有効性

明治機械事件

東京地裁(令和2年9月28日)判決

◆ 自家用車への不正給油と懲戒免職処分の有効性

津市事件

津地裁(令和2年8月20日)判決

◆ 引抜行為等を理由とする解雇の有効性

福屋不動産販売事件

大阪地裁(令和2年8月6日)判決

◆ 長期無断欠勤を理由とする懲戒解雇無効地位確認請求

国立大学法人京都大学事件

大阪高裁(令和2年8月5日)判決

◆ 派遣法上の労働契約申込みなし制度と地位確認請求

日本貨物検数協会(日興サービス)事件

名古屋地裁(令和2年7月20日)判決

◆ 窃盗を理由とする解雇と解雇予告手当等支払請求

石田商会事件

大阪地裁(令和2年7月16日)判決

◆ 休職命令の無効と退職無効地位確認等請求

タカゾノテクノロジー事件

大阪地裁(令和2年7月9日)判決

◆ 亡教員の自殺と校長らの安全配慮義務違反

北海道事件

仙台地裁(令和2年7月1日)判決

◆ 金員の詐取等を理由とする懲戒免職処分取消等請求

守口市門真市消防組合事件

大阪地裁(令和2年6月29日)判決

◆ 組合員に対する復職拒否の不当労働行為の成否

国・中労委(神奈川歯科大学)事件

東京地裁(令和2年6月26日)判決

◆ 不正金員受領等を理由とする懲戒解雇の有効性

まるやま事件

東京地裁(令和2年6月25日)判決

◆ 変形労働時間制要件不充足と時間外割増賃金等支払請求

イースタンエアポートモータース事件

東京地裁(令和2年6月25日)判決

◆ 雇止め無効地位確認等請求

電通オンデマンドグラフィック事件

東京地裁(令和2年6月23日)判決

◆ 能力不足等を理由とする解雇の有効性

パタゴニア・インターナショナル・インク事件

東京地裁(令和2年6月10日)判決

◆ 団交出席者の交渉権限及び経営資料不提示の不当労働行為性

国・中労委(長澤運輸)事件

東京地裁(令和2年6月10日)判決

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