労働判例ジャーナル96号(2020年・3月)
■注目判例
性同一性障害者の性自認に対応するトイレの自由利用に対する制限の違法性
経済産業省職員(性同一性障害)事件
■ポイント
本判決は,性同一性障害の経済産業省職員(以下,「本件職員」という)が自己の性自認する性別に対応するトイレの自由利用を制限する庁舎管理権に基づく経済産業省の措置が違法であり,国家賠償法に基づき損害賠償を求めたものである。また,本件職員は,経済産業省がとったトイレの利用制限を中止することなどについて人事院に措置要求をしていたが(国家公務員法86条参照),本判決は,人事院がこの措置要求を認めなかったことを裁量権の逸脱として,人事院の判定を取り消した。
本件は,国家公務員の事案であり,国家賠償法に基づく損害賠償および国家公務員の措置要求に対する人事院の不承認の判定の取消し請求という訴訟になったが,就業の場における性同一性障害者に対する対応は,今後,民間企業でも大きな問題となる可能性があり,その意味でも本判決は重要な意義を有すると言えよう。
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目次
◆ 性同一性障害者の性自認に対応するトイレの自由利用に対する制限の違法性
経済産業省職員(性同一性障害)事件
東京地裁(令和元年12月12日)判決
◆ セクハラ等行為に基づく損害賠償等請求
日本郵便事件
徳島地裁(令和2年1月20日)判決
◆ 最低賃金法に基づく未払賃金等支払請求
税経コンサルティング事件
大阪地裁(令和元年12月27日)判決
◆ 研修滞在先虚偽報告等を理由とする懲戒解雇の有効性
公立大学法人広島市立大学事件
広島地裁(令和元年12月25日)判決
◆ 研究室長らを降格する就業規則の不利益変更の有効性
大阪産業技術研究所事件
大阪地裁(令和元年12月25日)判決
◆ 自殺した亡非常勤職員の慰謝料等請求
北九州市事件
福岡高裁(令和元年12月23日)判決
◆ 割増賃金の支払請求と管理監督者該当性
はなまる事件
大阪地裁(令和元年12月20日)判決
◆ 準消費貸借契約等に基づく貸金返還請求
伊東商事事件
大阪地裁(令和元年12月20日)判決
◆ 病院元院長の懲戒解雇無効地位確認請求
一般社団法人竹田市医師会事件
大分地裁(令和元年12月19日)判決
◆ うつ病発症に関する安全配慮義務に基づく損害賠償等請求
北海道二十一世紀総合研究所事件
札幌高裁(令和元年12月19日)判決
◆ 通勤手当の不当認定等に基づく損害賠償等請求
ダイナス製靴事件
大阪地裁(令和元年12月16日)判決
◆ 営業先不訪問等を理由とする懲戒解雇の有効性
富士化学工業事件
大阪地裁(令和元年12月12日)判決
◆ 末梢神経障害性疼痛等発症の業務起因性
泉大津労基署長(末梢神経障害性疼痛等発症)事件
大阪地裁(令和元年11月27日)判決
◆ 配転させず復職させたことを理由とする損害賠償等請求
京都市事件
大阪地裁(令和元年11月27日)判決
◆ PC上の私的閲覧を理由とする降格前の地位確認等請求
ノーリツ事件
神戸地裁(令和元年11月27日)判決
◆ 不当な配転等を理由とする損害賠償等請求
スーパー・コート事件
大阪地裁(令和元年11月26日)判決
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