労働判例ジャーナル81号(2018年・12月)
■注目判例
幹部社員の試用期間中の解雇
ラフマ・ミレー事件
東京地裁(平成30年6月20日)判決
■ポイント
試用期間については,判例は,解約権留保付きの労働契約とした上で,通常の解雇に比べてより広い範囲における解雇の自由が認められるとしている。そして,管理職要員の大卒新規採用者の事案において,企業者が,採用決定後の調査の結果により,または試用中の勤務状態等により,当初知ることができず,また知ることが期待できないような事実を知るに至った場合において,その事実に照らして解雇に客観的合理的理由があり,社会通念上相当と認められる場合には,試用期間中に留保された解約権を行使できるとの判断基準を示している(三菱樹脂事件・最大判昭48・12・12)。
本件は,中途採用者であり,また幹部職員としての入社であり,新卒採用の場合とは異なる判断が下されるかが注目された。本判決は,試用期間中に幹部職員としての職務能力に欠けると判断されたものであり,試用期間が本来の趣旨での観察期間として機能した事例ということができよう。もっとも,これが通常の解雇権よりも広い留保解約権の行使と言えるかは疑問であろう。
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目次
◆ 幹部社員の試用期間中の解雇
ラフマ・ミレー事件
東京地裁(平成30年6月20日)判決
◆ 就労斡旋差別等に基づく損害賠償等請求
全日本建設交運一般労働組合関西支部事件
神戸地裁(平成30年9月14日)判決
◆ 元タクシー等乗務員らの未払賃金等支払請求
観光夢めぐり事件
大阪地裁(平成30年8月24日)判決
◆ 固定残業代の合意の有無と未払時間外割増賃金等支払請求
グローホーム事件
大阪地裁(平成30年8月23日)判決
◆ 上司の暴行等に基づく損害賠償等請求
共立メンテナンス事件
東京地裁(平成30年7月30日)判決
◆ 料理長の管理監督者該当性
ダイワリゾート事件
東京地裁(平成30年7月27日)判決
◆ 復職の際の労働条件変更と未払賃金等支払請求
一心屋事件
東京地裁(平成30年7月27日)判決
◆ 管理監督者の該当性と未払割増賃金等請求
MUKU事件
大阪地裁(平成30年7月20日)判決
◆ 再雇用採用拒否に基づく東京都に対する損害賠償請求
東京都・都教委(再雇用採用拒否)事件
最高裁第一小法廷(平成30年7月19日)判決
◆ 社団法人の職員による法律に基づく未払賃金等支払請求
農山漁村女性・生活活動支援協会事件
東京地裁(平成30年7月18日)判決
◆ 不適切な言動に基づく損害賠償等請求
システム開発会社S事件
東京地裁(平成30年7月10日)判決
◆ パワハラ及び違法な雇止めに基づく損害賠償等請求
セイハネットワーク事件
大阪地裁(平成30年7月6日)判決
◆ 休職期間満了退職扱い無効地位確認等請求
ツナガルホールディングス事件
大阪地裁(平成30年5月30日)判決
◆ 教員の体罰等を理由とする懲戒免職処分取消請求
宮崎県・宮崎県教育委員会事件
福岡高裁宮崎支部(平成30年6月29日)判決
◆ 名誉棄損と不当訴訟による損害賠償等請求
国際自動車・km国際自動車労働組合事件
東京地裁(平成30年6月27日)判決
◆ 元教諭の未成年者との性交渉等を理由とする解雇の有効性
学校法人日本体育大学事件
東京地裁(平成30年4月18日)判決
◆ 定年後の再雇用制度基準に満たないことを理由とする雇止めの有効性
エボニック・ジャパン事件
東京地裁(平成30年6月12日)判決
◆ 人事評価の濫用に基づく差額賞与等支払請求
住商インテリアインターナショナル事件
東京地裁(平成30年6月11日)判決
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