労働判例ジャーナル70号(2018年・1月)

■注目判例

退職を強要するパワーハラスメント

フクダ電子長野販売事件
東京高裁(平成29年10月18日)判決

■ポイント

 本件は,医療機器の販売を主たる業務とするフクダ電子長野販売株式会社において,同社の女性従業員全員である4名が退職したことが,同社および代表取締役の一連の退職強要が原因であるとして,パワーハラスメントを理由として損害賠償などが請求され,これら女性従業員の請求がおおむね認められた事案である。
 本判決において特徴的であるのは,直接的な退職強要行為が認定されていない残る2名の女性の退職についてもパワーハラスメントによるとして損害賠償を認めていることである。
 他の従業員に対する退職強要行為が本判決の指摘する「間接的な退職強要」に該当し,違法行為となることがあるという判断は,パワーハラスメントの事案を考えるうえで,示唆に富む意味があるように思われる。

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目次

◆ 退職を強要するパワーハラスメント

フクダ電子長野販売事件

東京高裁(平成29年10月18日)判決

◆ 市元職員の飲酒運転等に基づく懲戒免職処分取消請求

千葉市事件

千葉地裁(平成29年10月31日)判決

◆ 小学校卒業式参加不許可に係る不当労働行為該当性

大阪府・府労委(高槻市)事件

大阪地裁(平成29年10月2日)判決

◆ トラック運転手の解雇無効地位確認等請求

杉繁運輸事件

東京地裁(平成29年8月3日)判決

◆ 業務命令違反に基づく解雇無効地位確認等請求

シリコンパワージャパン事件

東京地裁(平成29年7月18日)判決

◆ 降格減給処分無効地位確認及び賃金等請求

東日本高速道路事件

東京地裁(平成29年7月7日)判決

◆ 大学の年金規程改正無効未払年金等支払請求

学校法人法政大学事件

東京地裁(平成29年7月6日)判決

◆ 中学元教諭の万引き行為に基づく懲戒免職処分等取消請求

東京都・都教委(懲戒免職等取消請求)事件

東京地裁(平成29年6月26日)判決

◆ 就業規則の変更(年功序列型賃金体系導入)の有効性

東京商工会議所事件

東京地裁(平成29年5月8日)判決

◆ 就業態度・能率不良に基づく解雇無効地位確認請求

日本コクレア事件

東京地裁(平成29年4月19日)判決

◆ 地域スタッフに対するNHKの団交拒否の不当労働行為該当性

国・中労委(日本放送協会)事件

東京地裁(平成29年4月13日)判決

◆ 休職後の雇用の終了の有効性・賃金減額同意の成否

DMM.com事件

東京地裁(平成29年3月31日)判決

◆ 名誉棄損等に基づく会社及び上司らに対する損害賠償等請求

淳久堂書店事件

東京地裁(平成29年3月29日)判決

◆ 成績率に基づく年末手当減額分等支払請求

東海旅客鉄道事件

東京地裁(平成29年3月29日)判決

◆ 陸上自衛官の存立危機事態における出動命令に服する義務確認

国・法務大臣(陸上自衛隊員)事件

東京地裁(平成29年3月23日)判決

◆ 参議院議員元秘書の解職無効地位確認等請求

国・参議院議員事件

東京地裁(平成29年3月15日)判決

◆ 休職満了後の退職扱い無効地位確認等請求

エターナルキャスト事件

東京地裁(平成29年3月13日)判決

◆懲戒処分及び異動の処分無効確認請求と会社の使用者責任

京王電鉄バス事件

東京地裁(平成29年3月10日)判決

◆ 国家公務員に対する雇止めの可否

公共職業安定所事件

東京地裁(平成29年3月8日)判決

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