労働判例ジャーナル66号(2017年・9月)

■注目判例

仮眠時間・休憩時間および朝礼・着替え時間の労働時間性

イオンディライトセキュリティ事件
東京地裁(平成29年3月28日)判決

■ポイント

 本判決は,警備業務に従事していた従業員の仮眠時間・休憩時間および朝礼・着替え時間が労基法の労働時間であるとして,未払いの割増賃金請求および付加金の請求を認めたものである。
 本件において,労働契約に基づく義務として,仮眠室における待機と警報等に対して直ちに相当の対応をすることが義務付けられており,本件の仮眠時間・休憩時間を労基法上の労働時間と判断した。
 次に,朝礼・着替え時間については,毎日始業時間前に,警備員が全員制服を着用して朝礼に出席することを義務付けられていたこと,また,警備員が警備業法により制服の着用を義務付けられており,かつ会社では制服を着用しての出退勤が禁止されていたこと,また,これらを事業場内において行うこととされていたというべきであるとし,朝礼及び着替えに要する時間は,会社の指揮命令下に置かれていたとした。
 いずれの論点もすでに,本判決も引用している最高裁判決の示した法理が定着しており,理論的に目新しい判断が示されているわけではないが,判例法理の適用事例としては参照に値しよう。

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目次

◆ 仮眠時間・休憩時間および朝礼・着替え時間の労働時間性

イオンディライトセキュリティ事件

千葉地裁(平成29年5月17日)判決

◆ 観光バス運転手の脳出血死と業務起因性

国・長野労基署長事件

東京高裁(平成29年7月11日)判決

◆ 市職員のうつ病自殺に基づく公務外災害認定処分取消請求

地公災岐阜県支部長事件

名古屋高裁(平成29年7月6日)判決

◆ 残業代及び上司の暴行等に基づく損害賠償等請求

日本郵便事件

佐賀地裁(平成29年6月30日)判決

◆ 市の元非常勤職員の再任用義務付及び損害賠償等請求

兵庫県小野市事件

神戸地裁(平成29年5月31日)判決

◆ 固定残業代無効等に基づく未払時間外割増賃金等支払請求

日本保証・クレディア事件

大阪地裁(平成29年4月27日)判決

◆ 適応障害発症に基づく休業補償給付不支給処分取消請求

国・北大阪労基署長(適応障害発症)事件

大阪地裁(平成29年4月26日)判決

◆ 特別支給の老齢厚生年金決定取消請求

特別支給の老齢厚生年金決定取消請求事件

最高裁第二小法廷(平成29年4月21日)判決

◆ 労働契約の成立に基づく未払賃金等支払請求

未払賃金等支払請求事件

高松地裁(平成29年4月18日)判決

◆ 就業規則の不利益変更無効未払賃金等支払請求

紀北川上農業協同組合事件

大阪地裁(平成29年4月10日)判決

◆ 非違行為を理由とする賞与減額の可否

東海旅客鉄道事件

大阪地裁(平成29年3月30日)判決

◆ 教員間のハラスメントに対する大学の責任の有無

国立大学法人金沢大学事件

金沢地裁(平成29年3月30日)判決

◆ 貸切バス元運転手らの払賃金等支払請求

ジョイフル観光事件

大阪地裁(平成29年3月28日)判決

◆ 隠蔽工作等に基づく解雇無効地位確認等請求

ミツモリ事件

大阪地裁(平成29年3月28日)判決

◆ 職安の期間業務職員の雇止め無効地位確認等請求

国・東京労働局長事件

東京地裁(平成29年3月8日)判決

◆ 教諭の児童接触事故に基づく懲戒免職処分等取消請求

堺市・堺市教育委員会事件

大阪地裁(平成29年2月27日)判決

◆ 非違行為に基づく解雇無効地位確認等請求

鐘栄商店事件

大阪地裁(平成29年2月23日)判決

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