労働判例ジャーナル65号(2017年・8月)
■注目判例
会社分割に伴う労働契約の承継と協議義務違反
エイボン・プロダクツ事件
東京地裁(平成29年3月28日)判決
■ポイント
この事件は,障がい児童に対する放課後デイサービス事業を営む会社にその事業所の管理責任者として雇用されていた従業員が,自己の労働契約が求人票の記載通り期間の定めのないものであり,また,会社による解雇が無効として,地位確認等を求めた事案である。
この事件においては,求人票には,契約期間の定めがなかったところ,その後の労働条件通知書では期間の定めがあるとされており,それに本件従業員も署名押印していたという事情があった。このことから,求人票に記載された労働条件が締結された労働契約のそれになるかが論点となったのである。
労働契約の締結過程において,労働条件がどのように確定されると考えるべきかという観点から注目される裁判例と言える。
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目次
◆ 会社分割に伴う労働契約の承継と協議義務違反
エイボン・プロダクツ事件
東京地裁(平成29年3月28日)判決
◆ 勤務態度や健康状態を理由とした雇止めの有効性
ジャパンレンタカー事件
名古屋高裁(平成29年5月18日)判決
◆ パワハラに基づく慰謝料等請求
フクダ電子長野販売事件
長野地裁松本支部(平成29年5月17日)判決
◆ 大阪市元職員の配置換先への出勤義務不存在確認等請求
大阪市事件
大阪地裁(平成29年5月15日)判決
◆ 元花柳会の名取及び会員の地位にあることの確認等請求
花柳流花柳会事件
最高裁第三小法廷(平成29年5月9日)決定
◆ 重婚内縁関係に基づく遺族厚生年金不支給処分取消請求
国・厚生労働大臣事件
岐阜地裁(平成29年4月28日)判決
◆ 無許可の営業行為等に基づく懲戒免職処分等取消請求
宝塚市・宝塚市消防長事件
神戸地裁(平成29年4月26日)判決
◆ パン製造作業員の頸椎症等発症の業務起因性
国・西野田労基署長(頸椎症等発症)事件
大阪地裁(平成29年4月17日)判決
◆ 化学物質過敏症の発症と業務上の曝露の有無
国・西野田労基署長(化学物質過敏症)事件
大阪地裁(平成29年4月12日)判決
◆ 大学准教授の自宅待機命令効力停止仮処分申立
学校法人関西大学事件
大阪地裁(平成29年3月31日)判決
◆ 飲酒運転に基づく懲戒免職処分等取消等請求
名古屋市・名古屋市上下水道局長事件
名古屋地裁(平成29年3月30日)判決
◆ 有罪判決等に基づく懲戒解雇無効地位確認等請求
西日本鉄道事件
福岡地裁(平成29年3月29日)判決
◆ 公立中学校元教諭の退職手当支給制限処分取消請
長崎県・長崎県教育委員会事件
長崎地裁(平成29年3月27日)判決
◆ 経営状態の悪化と未払賃金請求の可否
SIフードサービス事件
大阪地裁(平成29年3月23日)判決
◆ 懲戒解雇に関わる地位保全の可否
学校法人賢明学院事件
大阪地裁(平成29年3月15日)判決
◆ 秘密保持義務違反を理由とする損害賠償請求の可否
播磨殖産事件
大阪地裁(平成29年3月14日)判決
◆ 横領を理由とする懲戒解雇の有効性
河口湖チーズケーキガーデン事件
甲府地裁(平成29年3月14日)判決
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