労働判例ジャーナル10号(2013年・1月)
■注目判例
有期労働契約の雇止め(高年法の継続雇用制度)
津田電気計器事件
最高裁第一小法廷(平成24年11月29日)判決
■ポイント
本判決は、高年法に基づく継続雇用制度(同法9条1項2号)において、再雇用を拒否された有期労働契約(嘱託雇用契約)労働者について、継続雇用基準を満たしていたとして、有期労働契約の雇止めに関する判例法理(解雇権濫用法理の類推適用)を援用して再雇用を認めたものである。
高年法は、2012年改正により、継続雇用について労使協定により雇用基準を設けて継続雇用者を限定する制度が廃止されたので、将来的には本件のような法的紛争は生じないことになった。しかし、今回の改正でも、継続雇用制度において心身の故障のため業務の遂行に堪えられないと認められること、勤務状況が著しく不良で引き続き従業員としての職責を果たし得ないことなど就業規則に定める解雇事由または退職事由に該当する場合には継続雇用しないことができるとされており、継続雇用制度をめぐって引き続き法的紛争が生ずると予想される。
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目次
◆ 労基法81条の解釈と打切補償対象者の範囲
学校法人専修大学事件
東京地裁(平成24年9月28日)判決
◆ 元職員に対する再雇用拒否の有効性
社会福祉法人福田会事件
東京地裁(平成24年10月9日)判決
◆ 懲戒解雇の有効性,元従業員への損害賠償請求
白洋産業事件
大阪地裁(平成24年9月28日)判決
◆ 精神疾患と分限免職の可否
武蔵村山市(分限免職)事件
東京地裁(平成24年9月26日)判決
◆ うつ病自殺に対する安全配慮義務違反
萬屋建設事件
前橋地裁(平成24年9月7日)判決
◆ 雇止めの効力と転籍同意の有効性
エヌ・ティ・ティ北海道テレマート事件
札幌地裁(平成24年9月5日)判決
◆ 雇止めと解雇権濫用法理適用の可否
西日本旅客鉄道(雇止め)事件
大阪地裁(平成24年9月14日)判決
◆ 退職金の基礎額を基本給でなく固定給とした成否
泰正事件
東京地裁(平成24年9月27日)判決
◆ 退職手当の受給権者である内縁の夫にあたるか否か
国家公務員退職手当請求事件
東京地裁(平成24年9月20日)判決
◆ 割増賃金請求の可否
有限会社大同物産(有限会社日産實業)事件
大阪地裁(平成24年9月14日)判決
◆ うつ病自殺の業務起因性
日本赤十字社事件
甲府地裁(平成24年10月2日)判決
◆ 従業員の引抜・顧客の奪取行為に基づく損害賠償請求
アイティフォース事件
大阪地裁(平成24年9月27日)判決
◆ 従業員としての飲食代等の会社による支払義務
主計管工事件
大阪地裁(平成24年9月13日)判決
◆ 団交拒否の不当労働行為該当性
国・中労委(ジェーアール西日本労働組合)事件
東京地裁(平成24年9月19日)判決
◆ 躁うつ病の業務起因性
国・大阪中央労働基準監督署長(躁うつ病)事件
大阪地裁(平成24年9月19日)判決
◆ うつ病自殺の業務起因性
国・三田労働基準監督署長(うつ病自殺)事件
東京地裁(平成24年9月13日)判決
◆ 業務により石綿肺を罹患した者の自殺と業務起因性
倉敷労働基準監督署長(遺族補償給付等不支給処分取消請求)事件
岡山地裁(平成24年9月26日)判決
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