労働判例ジャーナル23号(2014年・2月)
■注目判例
出向における業務上の必要性と人選の合理性
リコー事件
東京地裁(平成25年11月12日)判決
■ポイント
本件は、退職勧奨を断った従業員に対する子会社への出向命令の有効性が問われた事案である。会社が従業員に自主退職を迫るために、それまでのキャリアにそぐわない部署に配属する、いわゆる「追い出し部屋」がマスコミで取り上げられているが、子会社への出向も同様の措置として注目を集めていたものである。本件では、技術系の従業員が子会社で商品の梱包、検品、ラベル貼り等の業務に従事していた(もう一人はうつ病のため休業)。このため、従業員らは、本件出向命令および本件退職勧奨が不法行為に該当するとして、損害賠償を請求し、また、退職勧奨の差止めも併せて請求していた。
本判決は、出向命令について無効としたが、その他の請求については棄却した。 出向命令に関する本判決の内容をみると、この問題をこれまでの出向に関する裁判例および出向命令権濫用法理に関する労契法14条の規範に即して検討し、結論としては無効と判断したといえる。
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目次
◆ 出向における業務上の必要性と人選の合理性
リコー事件
東京地裁(平成25年11月12日)判決
◆ 懲戒解雇及び普通解雇の妥当性
芝ソフト事件
東京地裁(平成25年11月21日)判決
◆ ストライキ参加等を理由とする懲戒解雇の有効性
ミカド観光センター事件
福岡高裁(平成25年11月21日)判決
◆ 有期雇用契約の雇止めの有効性
日本CATV技術協会事件
東京地裁(平成25年11月19日)判決
◆ 整理解雇の有効性
ジェイナス事件
東京地裁(平成25年11月8日)判決
◆ 服務規律違反に基づく解雇の有効性
マイクロソフトディベロップメント事件
東京地裁(平成25年11月6日)判決
◆ 出張費等の私的流用と従業員の懲戒解雇
マクロシステム事件
東京地裁(平成25年10月16日)判決
◆ 派遣先で起きたパワハラに基づく損害賠償請求
アークレイファクトリー事件
大阪高裁(平成25年10月9日)判決
◆ 管理監督者性の有無と時間外賃金請求の可否
ボス事件
東京地裁(平成25年11月27日)判決
◆ 元配偶者の子を支給の基礎とする扶養手当
国(賃金(扶養手当)請求)事件
東京地裁(平成25年11月27日)判決
◆ 時間外割増賃金支払請求
ループコーポレーション事件
東京地裁(平成25年11月26日)判決
◆ 配偶者の性別における受給権の有無
地方公務員災害補償基金事件
大阪地裁(平成25年11月25日)判決
◆ 計算式に基づく退職手当の労使慣行の成否
内田産業事件
東京地裁(平成25年11月15日)判決
◆トレーラーの運転手の労働者性
昭栄運輸事件
大阪地裁(平成25年11月8日)判決
◆ 懲戒事由としての暴行の存否
学校法人桃山学院事件
大阪地裁(平成25年11月8日)判決
◆ 再雇用制度廃止と団交拒否の正当性
国・中労委(再雇用制度廃止)事件
東京地裁(平成25年10月30日)判決
◆ 育児休業給付金相当額の損害賠償
ガイア事件
東京地裁(平成25年10月8日)判決
◆ 受動喫煙の労災認定の可否
国・新宿労基署長(受動喫煙)事件
東京地裁(平成25年11月27日)判決
◆ 過労自殺による民事賠償
医療法人雄心会事件
札幌高裁(平成25年11月21日)判決
◆ 精神疾患の業務起因性
国・淀川労基署長事件
大阪地裁(平成25年11月11日)判決
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