労働判例ジャーナル153号(2024年・12月)

■注目判例

有期雇用の大学教員の無期転換申込権と任期法の10年特例

学校法人羽衣学園事件

■ポイント

 大学教員の任期等に関する法律(以下「任期法」)は,「先端的,学際的又は総合的な教育研究であることその他の当該教育研究組織で行われる教育研究の分野又は方法の特性に鑑み,多様な人材の確保が特に求められる教育研究組織の職」に該当する任期付大学教員については,労契法の無期転換申込権の発生が通常の5年(労契法18条)ではなく,10年を超えて契約が継続するときとする特例(以下,「10年特例」)を定めている。
 本件は,羽衣国際大学を設置する学校法人羽衣学園(以下,「本件学校法人」)が平成25年3月4日に契約期間3年で更新を1回限りとする契約内容で雇用した任期付専任講師(以下,「本件教員」)が契約更新後の平成30年11月4日に,本件学校法人に対し,本件労働契約の契約期間が満了する日の翌日から労務が提供される無期労働契約の締結の申込みをしたところ,本件学校法人が任期法の10年特例を根拠に本件教員には未だ労契法の無期転換申込権が発生していないとしたため,本件教員が本件学校法人に無期転換を認めるよう訴えたものである。

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目次

◆ 有期雇用の大学教員の無期転換申込権と任期法の10年特例

学校法人羽衣学園事件

最高裁第一小法廷(令和6年10月31日)判決

◆ 降格幅及び賃金減額幅が大きいとして,降格無効次長の地位等確認請求が認められた例

八城観光開発事件

大阪地裁(令和6年8月30日)判決

◆ セクハラ行為を理由とする解雇無効地位確認請求が認められた例

あさがおねっと事件

大阪地裁(令和6年8月23日)判決

◆ 顧客情報横流し等の非違行為を理由とする解雇無効地位確認請求が斥けられた例

ファミリーライフサービス事件

大阪地裁(令和6年8月9日)判決

◆ 職務外非行を理由とする懲戒解雇が無効であるとして,地位確認請求が認められた例

日本郵便事件

名古屋地裁(令和6年8月8日)判決

◆ 買取店店長は管理監督者に該当するとして,未払割増賃金等支払請求が斥けられた例

BALM(旧商号ビッグモーター)事件

岐阜地裁(令和6年8月8日)判決

◆ エルダースタッフの家族給不支給取扱いに基づく損害賠償等請求が斥けられた例

阪急バス事件

大阪地裁(令和6年7月31日)判決

◆ 債務不履行に基づく損害賠償等請求が一部認められた例

山忠ハウジング事件

大阪地裁(令和6年7月30日)判決

◆ 廃棄前の食品窃取を理由とする懲戒免職処分等取消請求が認められた例

名古屋市・名古屋市教委事件

名古屋地裁(令和6年7月22日)判決

◆ 精神障害発病及び死亡に基づく遺族補償給付等不支給決定処分取消請求が斥けられた例

国・真岡労基署長事件

福岡地裁(令和6年7月19日)判決

◆ 仮眠時間等は労働時間である等として,未払割増賃金等支払請求が一部認められた例

ジャパンプロテクション事件

東京地裁(令和6年5月17日)判決

◆ 労働契約であったとはいえないとして,未払業務委託料が一部認められた例

帝建運輸事件

東京地裁(令和6年5月16日)判決

◆ 労働契約が成立していたとはいえないとして,地位確認等請求が斥けられた例

アズビル事件

東京地裁(令和6年4月25日)判決

◆ 懲戒解雇無効地位確認等請求が斥けられたが,損害賠償等請求が一部認められた例

みずほ銀行事件

東京地裁(令和6年4月24日)判決

◆ 自然退職無効地位確認請求が認められ,損害賠償等請求が一部認められた例

キャドワークス事件

東京地裁(令和6年4月19日)判決

◆ 上司に対する強い非難等を理由とするけん責処分無効確認等請求が斥けられた例

日本ノーベル事件

東京地裁(令和6年4月17日)判決

◆ 未払退職金等支払請求及び退職強要に基づく慰謝料等が斥けられた例

東急バス事件

東京地裁(令和6年3月13日)判決

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