労働判例ジャーナル128号(2022年・11月)
■注目判例
分限免職処分の有効性
長門市・長門消防局事件
■ポイント
本件は,消防署員の長期間かつ多数回にわたるパワハラ行為を理由とする分限免職処分の有効性が争点となったものである。本判決は,分限免職処分を取消した1審判決(山口地判令3・4・14LEX/DB:25569465)を支持した原審判決(広島高判令3・9・30本誌119号38頁)を取消し,1審判決を破棄したものである。
本判決は,最近の懲戒免職処分に関する氷見市消防職員事件最判(令4・6・14本誌126号4頁)と同様に,処分を取消した原審判決を覆す結論を示した。いずれの事例も,暴行・パワハラという現代では社会的に厳しい目が向けられる非違行為に関する判断であり,最判は,これらの行為に非違行為の重大性及び悪質性を強く認めたものと評価できる。したがって,免職処分に関する処分権者の裁量の範囲をこれらの判決だけから判断することは慎重である必要があろう。
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目次
◆ 分限免職処分の有効性
長門市・長門消防局事件
最高裁第三小法廷(令和4年9月13日)判決
◆ 学生に対するハラスメントを理由とする解雇の有効性
学校法人滋賀学園事件
大津地裁(令和4年6月30日)判決
◆ 夜間勤務担当を求める行政措置要求却下取消等請求
国・人事院事件
東京高裁(令和4年6月14日)判決
◆ 安全配慮義務違反に基づく損害賠償等請求
奈良県事件
奈良地裁(令和4年5月31日)判決
◆ 酒気帯び運転と懲戒免職・退職手当不支給処分取消請求
宮崎県・県教委事件
仙台高裁(令和4年5月26日)判決
◆ 職場環境配慮義務違反に基づく損害賠償等請求
三井物産インシュアランス事件
大阪地裁(令和4年5月26日)判決
◆ 退職扱い無効地位確認等請求
PASS-I-ONE事件
東京地裁(令和4年4月22日)判決
◆ 特定事業主における療養補償給付等支給処分取消請求
一般財団法人あんしん財団事件
東京地裁(令和4年4月15日)判決
◆ 降格・降給・懲戒処分無効地位確認等請求
ビジネスパートナー事件
東京地裁(令和4年3月22日)判決
◆語学教室校長の管理監督者該当性
ビーチャイニーズ事件
東京地裁(令和4年3月30日)判決
◆ 業務拒否等に基づく解雇無効地位確認等請求
Sparkle事件
東京地裁(令和4年3月30日)判決
◆ 大学非常勤講師の労働契約法上の労働者性
国立大学法人東京芸術大学事件
東京地裁(令和4年3月28日)判決
◆ 雇止め無効地位確認等請求
学校法人目白学園事件
東京地裁(令和4年3月28日)判決
◆ 事業場外みなし労働時間制適用の可否
イノベークス事件
東京地裁(令和4年3月23日)判決
◆ 降格処分の有効性と解雇無効地位確認等請求
伊藤忠商事事件
東京地裁(令和4年3月16日)判決
◆ 休職満了退職扱い無効地位確認等請求
地位確認等請求事件
東京地裁(令和4年3月15日)判決
◆ セクハラ・パワハラに基づく損害賠償等請求
ライフマティックス事件
大阪地裁(令和4年2月18日)判決
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