労働判例ジャーナル125号（2022年・8月）

■注目判例

業務請負労働者に対する請負元の安全配慮義務

セーフティ事件

■ポイント

　本件は，会社役員車等の運行・保守管理の請負契約に基づいて，役員付の運転手として勤務していた請負元従業員（本件従業員）が勤務中に心筋梗塞を発症して死亡したことについて，その遺族が会社に安全配慮義務違反に基づいて損害賠償を求めた事案である。
　会社の役員車の運転手は，本件のように請負契約による場合が一般的である。請負契約である以上，役員車に乗車する役員またはその会社から運転手に対する直接的な指示はできず，予定変更などは請負会社を通して運転手に指示しなければならない。したがって，請負会社は，運転手の実際の勤務状況について詳細な把握が求められるはずである。しかしながら，本件の状況から浮かび上がるのは，請負というよりは，派遣的な勤務状況になってはいないかということである。請負元も請負先も運転手の労務管理に十分な注意を払わないという状況が本件の背景にあると言えよう。

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労働判例ジャーナル125号（2022年・8月）

業務請負労働者に対する請負元の安全配慮義務

セーフティ事件

目次

◆ 業務請負労働者に対する請負元の安全配慮義務

セーフティ事件

◆ 会社の解散に基づく解雇の有効性

龍生自動車事件

◆ フリーライターへのハラスメントに基づく損害賠償等請求

アムール事件

◆ 賃金減額合意の存否と管理監督者該当性

阪神協同作業事件

◆ 外国人技術実習生による損害賠償等請求

協同組合アーバンプランニングほか１社事件

◆ 試用期間満了時の解雇無効地位確認等請求

リリカラ事件

◆ 休職中の退職扱い無効地位確認等請求

葵宝石事件

◆ 懲戒処分無効と地位確認等請求

学校法人國士舘事件

◆ 職場における暴言等を理由とする解雇の有効性

アドバネット事件

◆ ハラスメントに基づく損害賠償と解雇無効地位確認等請求

ローカスト事件

◆ 違法自宅待機命令に基づく慰謝料等請求

在日本南プレスビテリアンミッション事件

◆ 休職期間満了自然退職扱い無効地位確認等請求

高島事件

◆ 試用期間中の解雇の有効性

トラストスリー事件

◆ 退職合意無効と地位確認等請求

イーレックス事件

◆ 適格性欠如を理由とする解雇の有効性

欧州連合事件

◆賞与不支給と不当労働行為救済命令取消請求

国・中労委（大久保自動車教習所）事件

◆試用期間満了時の勤務不良を理由とする解雇の有効性

一般財団法人日本品質保証機構事件