労働判例ジャーナル120号(2022年・3月)

■注目判例

即戦力社員の試用期間満了後の本採用拒否の有効性

日本オラクル事件

■ポイント

 解雇規制のある国では,労働契約の締結にあたって,試用期間を設けるのが一般的である。
 本件は,職務内容が限定された即戦力として期待された者の試用期間満了時の本採用拒否(解雇)であり,試用期間の本来の意味での機能が争われたという意味で重要な事案と位置付けることができる。
 本件では,解雇の効力の発生が試用期間終了後であったが,解雇の決定が試用期間中であれば,留保された解約権の行使と解釈できるとした。解雇予告期間などを考慮に入れると妥当な解釈といえよう。
 今後は,職務限定型の中途採用が増加すると予想されていることを考えると,理論的にも実務的にも貴重な事例といえよう。

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目次

◆ 即戦力社員の試用期間満了後の本採用拒否の有効性

日本オラクル事件

東京地裁(令和3年11月12日)判決

◆ 退職後の継続雇用拒否無効地位確認等請求

NHKサービスセンター事件

横浜地裁川崎支部(令和3年11月30日)判決

◆ 雇止め無効地位確認等請求

大器キャリアキャスティングほか1社事件

大阪地裁(令和3年10月28日)判決

◆ 就業規則の不利益変更無効未払賃金等支払請求

学校法人梅光学院事件

山口地裁下関支部(令和3年10月26日)判決

◆ 試用期間中の解雇の有効性

日本コーキ事件

東京地裁(令和3年10月20日)判決

◆ 引抜行為等に基づく損害賠償等請求

Unity事件

大阪地裁(令和3年10月15日)判決

◆ 自死した亡労働者の精神疾患発症の業務起因性

国・八王子労基署長事件

東京地裁(令和3年10月14日)判決

◆ セクハラ行為に基づく教授らに対する損害賠償等請求

学校法人順正学園事件

宮崎地裁(令和3年10月13日)判決

◆ 精神障害発病の業務起因性

国・藤沢労基署長事件

東京地裁(令和3年10月7日)判決

◆ 上司のパワハラに基づく損害賠償等請求

神戸市・代表者交通事業管理者事件

神戸地裁(令和3年9月30日)判決

◆ 配転命令無効と地位確認等請求
アボットジャパン事件

東京地裁(令和3年9月29日)判決

◆ 就労意思喪失と解雇無効地位確認等請求

エヌアイケイ事件

大阪地裁(令和3年9月29日)判決

◆ 違法雇止め等に基づく損害賠償等請求

ロバート・ウォルターズ・ジャパン事件

東京地裁(令和3年9月28日)判決

◆ 市事務職員らの給与不均衡是正措置要求棄却判定取消請求

川崎市・川崎市人事委員会事件

横浜地裁(令和3年9月27日)判決

◆ 就業状況不良等を理由とする解雇の有効性

産業と経済・やまびこ投資顧問事件

東京地裁(令和3年9月24日)判決

◆ 退職意思表示撤回に基づく未払賃金等支払請求

東京税務協会事件

東京地裁(令和3年9月16日)判決

◆ 賃金減額の合意と無効差額賃金等支払請求

メイト事件

東京地裁(令和3年9月7日)判決

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