季刊労働法225号(2009/夏季)

特集:障害者雇用の方向性を探る

●障害者権利条約が国連で採択され、日本でも批准のための法整備について検討が始まっています。障害者雇用の現状、現行法はどのようになっているのか、批准に向けて、日本はどのような法制度を検討すべきなのでしょうか。
また、この不況で「授産施設に不況直撃」などといった見出しの記事も散見できます。
福祉の視点からは批准に向けて何が必要と考えられているのでしょうか。
特集「障害者雇用の方向性を探る」では、こうした論点について考えます。

●世界的な不況の影響で「派遣切り」が大きく報じられました。今後の派遣制度の見直しが議論される中、正社員との均等待遇がキーであるといわれています。
第2特集では、大陸ヨーロッパの派遣制度から、日本の派遣制度が学ぶべき点は何かについて検討します。

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目次

特集 障害者雇用の方向性を探る

■巻頭言■

世界的経済危機と非正規労働者の雇用問題

山形大学名誉教授 高木紘一

障害者雇用の現状と法制度

高齢・障害者雇用支援機構 国立職業リハビリテーションセンター次長 田口晶子

障害者雇用の法理

その基礎理論的課題

中央大学法科大学院教授 山田省三

障害者雇用の今後のあり方をめぐって

福祉と雇用の分立から融合へ

法政大学教授 松井亮輔

差別禁止法における「障害」(disability)の定義

障害を持つアメリカ人法(ADA)の2008年改正を参考に

成蹊大学法学部講師 長谷川珠子

イギリス障害者差別禁止法の差別概念の特徴

中央学院大学講師 長谷川 聡

フランスの障害者雇用政策

東京大学大学院GCOE特任研究員 永野仁美

日本における障害者雇用にかかる裁判例の検討

明治大学准教授 小西啓文

 

第2特集 ヨーロッパにおける派遣労働の動向

EU派遣労働指令の成立過程とEU諸国の派遣法制

労働政策研究・研修機構統括研究員 濱口桂一郎

ドイツにおける派遣労働の特徴と請負・派遣区分に関する基準

連邦雇用機構の派遣法施行指示を中心にして

大阪経済大学教授 大橋範雄

ドイツ労働者派遣法における均等待遇原則の機能と限界

亜細亜大学准教授 川田知子

フランス派遣労働法制における均等待遇原則

その沿革と現状

沖縄国際大学 大山盛義

 

■集中連載■

比較法研究・中小企業における労働法規制の適用除外

中小企業に対する労働法規制の適用除外―ドイツ―

三重短期大学准教授 山川和義

中小企業に対する労働法規制の適用除外―フランス―

神戸大学准教授 関根由紀

 

■連載■

労使が読み解く労働判例(連載第2回)

「パワー・ハラスメント」とは何か、それが労基法学上提起する課題

―国・静岡労基署長(日研化学)事件(東京地判平19・10・15労判950号5頁)を素材として―

獨協大学教授 石井保雄

個別労働関係紛争「あっせんファイル」(連載第7回)

あっせん制度の手続

―法制と実務との乖離―

九州大学教授 野田 進

 

■研究論文■

施設における障害者訓練と労働者性判断に関する一考察

関西学院大学教授 柳屋孝安

イギリス労働法における雇用契約の推定

―推定作業における契約意思の探求

九州大学法学府博士課程/日本学術振興会特別研究員 新屋敷恵美子

ドイツにおけるリストラクチャリングの際の従業員代表の役割

東京大学大学院博士課程 成田史子

■神戸労働法研究会

「使用者が雇用する労働者」の退職と団交応諾命令の拘束力

―国・中労委(ネスレ日本島田工場・団交)事件を中心に―

神戸大学大学院 本庄淳志

■北海道大学労働判例研究会

Aラーメン事件

仙台地判平成20.3.18労判968-32、仙台高判平成20.7.25労判968-29

弁護士 開本英幸

■筑波大学労働判例研究会

他社への長期出張中に発症したうつ病について、会社および出張先会社への損害賠償請求が認められた例

トヨタ自動車ほか事件 名古屋地判平20.10.30労経速2024号3頁

筑波大学労働判例研究会 小田倉秀二

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