季刊労働法235号(2011/冬季)

特集:雇用・就労分野における障害者差別禁止法制の展開と課題

●障害者権利条約のインパクトは、これを批准しようとする各国に国内法との内容的整合性を求めることになった点にあると指摘されています。このことから、再度、各国とも障害者の概念化が図られるべきとされ、合理的配慮論に象徴される「差別禁止アプローチ」に手続的にも照応すべく、障害者差別の裁判外紛争処理の完備や障害者差別禁止法の司法救済の審査基準の再検討が求められています。このような状況下で、わが国はどのような立法的対応をなすべきでしょうか。今号では、「障害者に対する特別(合理的)な配慮」と「公正な処遇」という課題について、おもに雇用分野に注目しながら、各国比較をします。

価格 2,420円(本体2,200+税) 数量

目次

特集:雇用・就労分野における障害者差別禁止法制の展開と課題

特集の趣旨

早稲田大学 菊池馨実

障害者差別禁止法におけるコストと合理的配慮の規範的根拠

―アメリカ法からの問題提起

北星学園大学教授 中川 純

ドイツ障害者雇用政策における合理的配慮論の展開

明治大学准教授 小西啓文

フランスにおける障害差別禁止の動向

―HALDE勧告に見る「適切な措置」概念の分析―

上智大学准教授 永野仁美

ドイツ障害者雇用における福祉的アプローチ

―障害者作業所を中心に

関西大学准教授 福島 豪

 

小特集 東日本大震災と労働問題

東日本大震災と労働法―特に原発事故に関連して―

福島大学特任教授 今野順夫

震災後の雇用・労働施策の概要と課題

全労働省労働組合中央執行委員長 森崎 巌

※本来の崎の字は大が立となります。

 

■論説■

労働組合法上の労働者

―労使関係法研究会報告書の検討―

明治大学教授 野川 忍

公務における勤務条件決定システムの転換

早稲田大学教授 清水 敏

ドイツの雇用調整

岡山大学教授 藤内和公

 

■研究論文■

看護労働における労働時間制の法的課題

――裁判例を契機に

日本赤十字九州国際看護大学教授 大橋 將

イギリスにおける職場いじめ

―ハラスメントからの保護法による救済―

中央大学大学院博士後期課程 滝原啓允

■神戸労働法研究会 第18回

労働組合法上の労働者概念をめぐる最近の最高裁二判決の意義

同志社大学大学院博士後期課程 山本陽大

■アジアの労働法と労働問題 第12回

中国における最低賃金制度の現状と課題

内閣府係長・行政官長期在外研究員(中国人民大学) 森下之博

 

■連載■

労使で読み解く労働判例(第7回)

採用内々定取消しをめぐって

―コーセーアールイー(第2)事件(福岡高判平成23年3月10日労判1020号82頁)―

東海大学准教授 渡邊絹子

労働法の立法学(第27回)

求職者支援制度の成立

労働政策研究・研修機構統括研究員 濱口桂一郎

ローヤリング労働事件(第3回)

労働審判―使用者側の立場から

弁護士 丸尾拓養

文献研究労働法学(第3回)

労働組合法上の労働者

立教大学准教授 竹内(奥野)寿

 

■追悼■

蓼沼謙一先生のご逝去を悼む

一橋大学大学院法学研究科教授 盛 誠吾

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