労働判例ジャーナル87号(2019年・6月)
■注目判例
フランチャイズ加盟店主(コンビニエンスストア店主)の労組法上の労働者性
セブン-イレブン・ジャパン事件
■ポイント
労組法上の労働者(労組法3条)については,労組法の趣旨を踏まえて,労働契約によって労務を供給する者のみならず,労働契約に類する契約によって労務を供給して収入を得る者で,労働契約下にある者と同様に使用者との交渉上の対等性を確保するために労組法の保護を及ぼすことが必要かつ適切と認められる者をも含むというのが近年の判例の立場であり,また,中労委もその立場を積極的に明らかにしてきたところである。
本事案については岡山県労委(ファミリーマート事件・平26・3・13)が,また,別の同様の事案については東京都労委(平27・3・17)が,それぞれ加盟店主の労組法上の労働者性を認め,フランチャイズ契約の相手方である会社が加盟店らによって組織された労組による団交申入れを拒否したことを不当労働行為とする救済命令を出していた。これらの救済命令につき中労委に対し,再審査申立てがなされ,中労委は,両事案ともに初審命令を取消し,救済申立てを棄却した(ファミリーマート事件・平31・2・6)。大筋において,岡山地労委及び東京地労委ともに,中労委の採用するのと基本的に同じ判断枠組みに基づいているにも関わらず,正反対の結論が出されたことが注目の集まるところである。
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目次
◆ フランチャイズ加盟店主(コンビニエンスストア店主)の労組法上の労働者性
セブン-イレブン・ジャパン事件
中労委(平成31年2月6日)命令
◆ 就労先との労働契約の成立
エヌ・ティ・ティ マーケティングアクト事件
大阪地裁(平成31年2月22日)判決
◆ 同僚の嫌がらせに基づく公務外災害認定処分取消請求
地方公務員災害補償基金事件
大阪地裁(平成31年2月20日)判決
◆ 組合加入を理由とする契約更新拒否の不当労働行為該当性
大阪府・大阪府労委事件
大阪地裁(平成31年2月20日)判決
◆ 障害のある労働者に対する再任用拒否の可否
地位確認等請求事件
大阪地裁(平成31年2月13日)判決
◆ 元特任教授の大学に対する更新拒絶無効地位確認等請求
学校法人札幌大学事件
札幌地裁(平成31年2月13日)判決
◆ 准教授の単位の不正認定を理由とする懲戒(停職)処分取消請求
国立大学法人北海道教育大学事件
札幌地裁(平成31年2月7日)判決
◆ 歯科医師の市に対する懲戒免職取消請求
富士吉田市事件
甲府地裁(平成31年1月22日)判決
◆ 府元職員の勤務実績不良等に基づく分限免職処分取消請求
大阪府事件
大阪地裁(平成31年1月9日)判決
◆ 配転命令無効確認雇用契約上の義務の不存在確認
石田プレス工業事件
東京地裁(平成30年12月28日)判決
◆ 胸部大動脈瘤破裂後の死亡と業務起因性
国・大田労基署長事件
東京地裁(平成30年12月27日)判決
◆ 勤務成績不良等を理由とする解雇無効地位確認請求
ピーエーピースタジオトリア事件
東京地裁(平成30年12月26日)判決
◆ 代理店契約と不当利得返還等請求
ベルコ事件
札幌地裁(平成30年12月25日)判決
◆ 定年後の再雇用と解雇無効地位確認等請求
白洋社ビルサービス事件
大阪地裁(平成30年12月25日)判決
◆ 教授の不正成績評価等を理由とする懲戒処分等取消請求
学校法人東北芸術工科大学事件
山形地裁(平成30年12月25日)判決
◆ パワハラに対する謝罪要求と団交拒否の不当労働行為該当性
国・中労委(日本郵便)事件
東京地裁(平成30年12月20)判決
◆ 雇止め無効地位確認請求
沢井製薬事件
大阪地裁(平成30年12月20日)判決
◆ バングラデシュ籍の家事使用人の未払賃金等支払請求
損害賠償等請求事件
東京地裁(平成30年12月5日)判決
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