労働判例ジャーナル44号(2015年・11月)
■注目判例
社労士事務所によるパワハラと名誉棄損行為
神奈川SR経営労務センター事件
東京高裁(平成27年8月26日)判決
■ポイント
本件は,社会保険労務士(個人及び法人)等を構成員(会員)とする労働保険事務組合である神奈川SR経営労務センター(以下「SR」という。)の従業員(以下「本件従業員」という。)が,職場のパワーハラスメント(以下「パワハラ」という。)等による損害の賠償を求めてSR及び代表者会長(以下「会長」という。)他1名を相手として提起した訴訟において,平成24年11月26日に裁判上の和解(以下「前訴和解」という。)が成立したにもかかわらず,その後,SR,会長及び副会長らが,前訴和解の合意事項を遵守ぜず,また共同して本件従業員に対する名誉毀損行為を行ったため,著しい精神的苦痛を受けたとして,SRらに対し,債務不履行又は共同不法行為による損害賠償請求権に基づき,連帯して慰謝料300万円及び弁護士費用30万円の合計330万円の損害賠償を請求した事案であり,SRらに和解条項の義務違反があったかが争点となったという特徴がある。
パワーハラスメント事案は,その結果が職場にフィードバックされ,労使のコミュニケーションにより就業環境が改善されることが真の解決であると思われる。この意味で,本事案は,パワーハラスメントに関する和解条項の履行が問題となったものであり,実務的に注目に値すると言えよう。
年間購読料:29,700円(27,000円+税)※送料無料。労働判例ジャーナルは労働法EX+をご契約の方に毎月発行される月刊誌です |
目次
【注目判例】
◆ 社労士事務所によるパワハラと名誉棄損行為
神奈川SR経営労務センター事件
東京高裁(平成27年8月26日)判決
◆ 編集者へのパワハラと懲戒処分・配転命令の有効性
講談社・講談社エディトリアル事件
東京地裁(平成27年8月25日)判決
◆ 元防衛事務官の国に対する損害賠償等請求
国・法務大臣(元防衛事務官の損害賠償請求)事件
福岡高裁(平成27年8月14日)判決
◆ 内縁の妻と主張する女性の亡労働者の退職金等支払請求
海老正事件
東京地裁(平成27年7月29日)判決
◆ 私立学校講師の雇止め無効地位確認等請求
学校法人泰星学園事件
福岡地裁(平成27年7月28日)判決
◆ 要件を欠く資格手当と解雇無効地位確認等請求
医療法人社団済安堂事件
東京地裁(平成27年7月16日)判決
◆ 都職員の勤務中の喫煙の懲戒処分への追加要求
東京都・東京都人事委員会事件
東京地裁(平成27年7月16日)判決
◆ 解雇無効勝訴判決後の未払賃金支払等請求
ジヤコス事件
東京地裁(平成27年7月15日)判決
◆ 元ホストの労働契約に基づく未払賃金等支払請求
未払賃金等支払請求事件
東京地裁(平成27年7月14日)判決
◆ 元従業員の時間外労働時間算定方法の有効性
富司見印刷事件
東京地裁(平成27年7月14日)判決
◆ 亡職員の親による農協に対する共済金等支払請求
クレイン農業協同組合事件
甲府地裁(平成27年7月14日)判決
◆ 労働契約上の合意に基づく作業ズボン代等支払請求
創朋舎事件
東京地裁(平成27年7月9日)判決
◆ 大学教授のセクハラに基づく解任無効地位確認等請求
学校法人早稲田大学事件
東京地裁(平成27年6月26日)判決
◆ 年収約1,000万円の労働者の管理監督者性
学生情報センター事件
東京地裁(平成27年6月24日)判決
◆ 元医学生による医師修学資金返還請求無効確認請求
魚沼市事件
新潟地裁長岡支部(平成27年6月18日)判決
◆ トラック運転手の時間外手当等請求
A商運事件
東京地裁(平成27年6月16日)判決
◆ 有期契約期間途中の解雇の有効性
大阪メトロサービス事件
大阪地裁(平成27年5月29日)判決
◆ 解雇された労働者の地位保全等請求
正久事件
大阪地裁(平成27年4月30日)判決
年間購読料:29,700円(27,000円+税)※送料無料。労働判例ジャーナルは労働法EX+をご契約の方に毎月発行される月刊誌です |