労働判例ジャーナル05号(2012年・08月)
■注目判例
配転命令の有効性
オリンパス事件
最高裁第1小法廷平24年6月28日
■ポイント
本件は、営業部門の社員が受けた配転命令が会社のコンプライアンス室に通報したことなどに対する報復としてされたもので無効であるなどと主張し、また、上司による業務上の嫌がらせ(パワーハラスメント)等により人格的利益が傷付けられたなどと主張して、損害賠償請求などを請求したものであった。公益通報者保護法の制定を受けて、内部通報制度を社内に設けた会社が多い。その際、本件会社のように、公益通報者保護法の対象事実の範囲を超える、例えば、社内ルール違反行為についても内部通報の対象としている会社が多い。本件の内部通報は、それ自体に社内規程などに違反する行為ではなく、これまでの内部通報に関する裁判例のような規律違反行為の免責が問題となったものではないが、内部通報者に対する配転が業務上の必要性に乏しいときには、報復的な配転として違法とされることを示したという意味で、今後の内部通報をめぐる法律問題を考えるうえで示唆に富むものである。
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目次
◆ 配転命令の有効性
オリンパス事件 東京高裁(平成23年8月31日)判決
最高裁第1小法廷(平成24年6月28日)上告棄却,上告受理申立て不受理
◆ 故意による無気力相撲を理由とする元力士の解雇の有効性
財団法人日本相撲協会事件
東京地裁(平成24年5月24日)判決
◆ 登録型派遣労働者の地位
エスプール事件
東京地裁(平成24年5月2日)判決
◆ 飲酒運転を理由とした懲戒免職処分の有効性
根室市(懲戒免職)事件
釧路地裁(平成24年3月6日)判決
◆ 定年退職者再雇用制度の再雇用基準を満たさないとされたことの適否
エクソンモービル事件
大阪地裁(平成24年5月11日)判決
◆ 残業代支払請求・歩合外務員契約締結義務の可否
オリエント証券事件
東京地裁(平成24年5月22日)判決
◆ 取締役の労働者性及び賃金減額部分・未払時間外手当支払請求
ピュアルネッサンス事件
東京地裁(平成24年5月16日)判決
◆ 傷病欠勤を理由とする賃金減額の可否
日本テレビ放送網事件
東京地裁(平成24年3月23日)判決
◆ 私生活上の非行により生じた非違行為を理由とした退職金不支給の是非
東日本電信電話事件
東京地裁(平成24年3月30日)判決
◆ マンション管理人の時間外割増賃金請求
マンション管理組合事件
大阪地裁(平成24年3月30日)判決
◆ 地方公務員になされた分限休職処分の適法性
豊中市・豊橋市教育委員会(休職処分)事件
大阪地裁(平成24年5月16日)判決
◆ 昇格・早期役職解任等に関する人事権の濫用の成否
日本政策金融公庫事件
東京地裁(平成24年5月16日)判決
◆ 上司によるパワーハラスメントの有無・雇止めの有効性
富士通関西システムズ事件
大阪地裁(平成24年3月30日)判決
◆ パワハラによる精神疾患発症と地位確認請求
ザ・ウィンザー・ホテルズインターナショナル事件
東京地裁(平成24年3月9日)判決
◆ 労働者の発症したうつ病に対する会社の安全配慮義務違反の成否
NTTファシリティーズ総合研究所事件
東京地裁(平成24年3月30日)判決
◆ 競業避止義務違反の有無
大都商会事件
東京地裁(平成24年3月13日)判決
◆ 石綿粉じん暴露による疾病に対する損害賠償請求
国・旭硝子外43社(石綿粉じん暴露損害賠償)事件
横浜地裁(平成24年5月25日)判決
◆ 団交拒否に合理性があるとして初審命令を取り消した中労委命令の適否
国・中労委(ニチアス)事件
東京地裁(平成24年5月16日)判決
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