「第2版」最新判例から学ぶメンタルヘルス問題とその対応策Q&A

「第2版」最新判例から学ぶ

メンタルヘルス問題とその対応策Q&A

―うつ病・休職・復職等の職場で生ずるメンタルヘルス問題とその法律実務対応策―

新たな裁判例をフォローし全般にわたって大幅に加筆・修正を加えたメンタルヘルス問題の集大成。
近年増加するメンタルヘルス不調をめぐる様々な紛争の予防・解決にオススメの一冊。
改正安衛法により新設されたストレスチェック制度についても解説。

著者/所属 :加茂善仁

サイズ/ページ数 :A5判 並製 250ページ

ISBN :978-4-903613-14-7

価格 1,760円(本体1,600円+税) 数量

目次

第1章 メンタルヘルスと採否

Q1. 精神障害歴の調査と採用の自由

  1. 採用の自由とその制限
  2. 精神障害歴は三菱樹脂事件最高裁判決のいう「その他の制限」 に含まれるか
    (1)採用時の個人情報の取得に関する職安法の制限
    (2)採用時の血液検査に関する裁判例
    (3)精神障害歴の調査とプライバシー保護

Q2. 精神障害歴の詐称と解雇

  1. 経歴詐称と懲戒解雇の可否
  2. 病歴(健康状態)詐称と解雇
  3. 精神障害歴詐称と解雇

Q3. 試用期間中の社員に対する休職規定適用の要否

  1. 試用期間の法的性質
  2. 試用期間中と休職規定適用の要否

第2章 メンタルヘルスと休職発令

Q1. メンタルヘルスと私傷病休職

  1. 私傷病休職事由の存在と休職発令
  2. 休職を経ない解雇が有効とされた事例
  3. メンタルヘルス不調者に対する実務対応

Q2. メンタルヘルス不調者が、受診もせず職場秩序を乱す場合と休職発令

  1. 休職発令の合理性
  2. 休職発令の要件
  3. メンタルヘルス不調者が出欠勤を繰り返したり業務に支障を生ずる場合の対応

Q3. 別疾病による欠勤と休職発令要件

Q4. 休職発令要件の改定と就業規則の不利益変更

  1. 私傷病休職制度の意義と発令要件
  2. 休職発令要件の追加と不利益変更

Q5. 休職発令と医師の受診命令の可否

  1. 就業規則に受診命令の定めがある場合
  2. 就業規則等に定めがない場合
  3. 受診を命ずる合理的な理由
  4. 労働者が受診命令を拒否した場合の使用者の対応策

Q6. 休職発令に従わず出社して職場秩序を乱したり、メンタルヘルス不調に起因して職場秩序を乱す社員に対する懲戒処分の可否

  1. 懲戒処分と責任能力
  2. メンタルヘルス不調者に対する使用者の配慮と懲戒処分
  3. 懲戒処分に対する実務対応

第3章 休職者に対する処遇と病状報告義務

Q1. 休職者の賃金の取扱

Q2. 休職者に対する病状報告義務

  1. 休職者に対する病状報告義務
  2. 病状報告の内容と頻度など

第4章 治癒と職場復帰にまつわる諸問題

Q1. メンタルヘルス不調者の復職の判断

  1. 休職期間満了の効果
  2. 治癒の意義と判断基準
    (1)職種・職務が特定されている場合
    (2)職種・職務が特定されていない場合

Q2. 治癒の判断と医師の診断

  1. 復職の判断主体
  2. 医師の診断の重要性

Q3. 主治医・産業医の診断書と復職の判断

  1. 主治医の診断書とその問題点
  2. 産業医の診断書の問題点
  3. 総合判断による主治医または産業医の意見の採否

Q4. 復職の可否に関する主治医と産業医の意見が分かれた場合の対応

  1. 主治医が復職可で産業医が復職不可の場合
  2. 主治医が復職不可で産業医が復職可の場合

Q5. 主治医の診断書に「軽易業務なら可」との記載がある場合と復職の可否

  1. 事情聴取の必要性
  2. 軽易な業務を創って復職させる必要性はあるか
  3. 現部署で軽易な業務に従事させる必要性はあるか

Q6. 守秘義務を理由に主治医から病状確認ができない場合の復職の判断

  1. 主治医からの健康情報の取得の可否
  2. 主治医が守秘義務を理由に情報提供を拒否した場合の対応

第5章 復職後の勤務・処遇及び配置

Q1. リハビリ勤務の要否と内容

  1. リハビリ勤務制度の多様性
  2. リハビリ勤務の要否

Q2. リハビリ勤務制度の内容と制度設計上の留意点

  1. リハビリ勤務のメリット・デメリット
  2. リハビリ勤務制度設計上の留意点
    (1)リハビリ勤務制度の位置づけの問題
    (2)出勤扱いとするか否か
    (3)リハビリ勤務の適用の要件と手続をどのように設定するのか
    (4)リハビリ勤務期間
    (5)リハビリ勤務職場
    (6)リハビリ勤務中の賃金

Q3. リハビリ勤務中の賃金

  1. 債務の本旨に従った労務提供と賃金支払義務
  2. 休職期間中に「治癒」の判断材料を得るために行われるもの
  3. 休職期間満了前に「治癒」したものとして復職させ、残りの休職期間を「慣らし運転」として行う場合

Q4. リハビリ勤務と業務災害、通勤災害

  1. 業務災害
  2. 通勤災害

Q5. 復職後の配置

  1. 使用者がとるべき就業上の措置
    (1)使用者の配置転換権の根拠
    (2)配転命令権と権利濫用による制約
  2. 安全配慮義務と使用者がとるべき就業上の措置
  3. 復職者の再配置について

Q6. 使用者の増悪防止義務と労働者の症状等の申告

  1. 安全配慮義務と労働者の健康状態の把握

Q7. 復職後の賃金

Q8. 職務の軽減と賃金引き下げの可否

  1. 賃金の一方的減額の可否
  2. 職種・職務内容変更と賃金減額の可否

Q9. メンタルヘルス不調者の降格等の人事措置

  1. 職務遂行能力の低下と降職・降格
  2. 職制上の役職を降格する場合
  3. 職能資格制度上の資格を降格する場合

第6章 復職後メンタルヘルス不調が再発した場合の取扱

Q1. 復職後の再発と再休職発令の要否

  1. 就業規則に復職後の再発(欠勤)に関する定めがある場合
    (1)同一ないし同種疾病による欠勤の取り扱い
    (2)復職後の欠勤が別の疾病による場合
  2. 就業規則に復職後の再発(欠勤)に関する定めがない場合

Q2. 休職期間の途中で復職した後、時を経ず再発した場合と解雇の可否

  1. 休職を発令せずになした「心身の故障のため職務に堪えないとき」に該当するとしてなした解雇の効力
  2. 再発と休職発令の要否

Q3. うつ病により休職と復職を繰り返す者に対しての対応策

  1. 休職と復職を繰り返す場合と休職制度の趣旨
  2. 休職と復職の反復と「心身の故障による」解雇の相当性
  3. 復職後の欠勤の取り扱いに関する就業規則の定め

第7章 メンタルヘルス不調と退職、解雇

Q1. メンタルヘルス不調を理由とする休職期間の満了による退職・解雇

  1. 休職期間満了による退職・解雇と業務災害
  2. 休職期間満了による退職・解雇が争われた事例
    (1)休職期間満了による退職・解雇が有効とされた事例
    (2)休職期間満了による退職・解雇が無効とされた事例
  3. 裁判例からみる休職期間の満了による退職・解雇の効力に関する判断ポイント

Q2. メンタルヘルス不調と解雇

  1. メンタルヘルス不調が業務に起因する場合と解雇
  2. メンタルヘルス不調が業務に起因しない場合と解雇

Q3. 労基法19条の解雇制限と打切補償の支払いによる解雇制限の解除

  1. 労基法19条の解雇制限とその解除事由としての打切り補償
  2. 労災保険による療養補償給付・休業補償給付を受給している場合と使用者による打切補償の可否
    (1)労災補償責任と労災保険給付との関係
    (2)労災補償が労災保険によってなされる場合と打切補償の可否

Q4. メンタルヘルス不調と雇止めの可否

  1. 有期雇用契約の雇止法理(労働契約法19条)
  2. メンタルヘルス不調と雇止めの合理的な理由

Q5. メンタルヘルス不調者に対する退職勧奨

  1. 退職勧奨の許容範囲
  2. メンタルヘルス不調者に対する退職勧奨とその留意点

Q6. メンタルヘルス不調者から提出された退職願(届)の撤回の取扱い

  1. 退職願(届)の態様
  2. 退職願(届)の撤回の可否
  3. 使用者の承諾が認定される場合

Q7. 退職の意思表示の瑕疵

  1. 退職願の瑕疵
  2. 錯誤
  3. 強迫

Q8. 家族による退職願が提出された場合

第8章 メンタルヘルスと労災認定

Q1. 労災と労災補償制度

  1. 労災と補償制度
  2. 労災保険法の目的と適用の仕組み

Q2. 労働者災害補償保険法の保険給付等の対象者となる「労働者」の意義

Q3. 労災保険給付の種類と内容

Q4. 労災保険と民事損害賠償等の調整

  1. 使用者の下での労働災害の場合
  2. 第三者行為災害の場合
  3. 将来の年金給付と損害賠償との調整
    (1)支払猶予と猶予額
    (2)支払猶予の例外
    (3)支払猶予後の損害賠償請求額の帰趨(損害賠償の免責額)

Q5. 業務災害の認定要件

  1. 業務災害と認められるための要件
  2. 業務遂行性の判断
  3. 業務起因性の判断

Q6. 過労自殺と業務上災害

  1. 業務に関連するうつ病等の精神障害の業務上外の判断
    (1)行政の認定基準
    (2)裁判例における業務起因性の判断
  2. 業務による強い心理的負荷の判断
    (1)ストレス-脆弱性理論
    (2)認定基準における長時間労働・過重労働の評価
    (3)裁判例における長時間労働・過重労働の評価

Q7. 業務起因性の判断基準となる労働者

  1. 認定基準における心理的負荷の判断基準となる労働者
  2. 裁判例における判断基準となる「労働者」

Q8. パワハラ自殺と業務上災害

  1. パワハラとは
  2. パワハラによる精神障害の認定基準

Q9. パワハラが労災認定された具体例

Q10. パワハラが否定された事例

Q11. パワハラと誤解されないための留意点

  • ア.暴力(有形力の行使)は不可
  • イ.乱暴な言葉遣いは不可
  • ウ.場所・時間等に注意すること
  • エ.名誉・信用・人格に配慮すること
  • オ.上司を支える環境作り

第9章 メンタルヘルスと使用者の安全配慮義務

Q1. 安全配慮義務

  1. 安全配慮義務概念の形成経緯
  2. 安全配慮義務の根拠とその義務の主体

Q2. 安全配慮義務の内容とその主張・立証責任

Q3. 安全配慮義務の一環としての増悪防止義務

Q4. 面接指導

  1. 面接指導制度
  2. 面接指導の対象労働者
  3. 事業者のとるべき事後措置
  4. 面接指導の対象者以外の者への配慮

Q5. ストレスチェック制度とは

  1. 心理的な負担の程度を把握するための検査等(ストレスチェック)制度の創設の経緯
  2. ストレスチェック制度の内容
    (1)事業者によるストレスチェックの実施
    (2)ストレスチェック実施後の面接指導
    (3)面接指導後の事後措置
  3. ストレスチェック結果の秘密保持・労働者に対する不利益取扱いの禁止
    (1)ストレスチェックの検査の秘密保持

    (2)面接指導の申出に対する不利益取扱いの禁止

Q6. 産業医の職務と使用者の安全配慮義務

  1. 安全配慮義務
  2. 産業医の選任・職務・健康診断の実施と安全配慮義務
  3. 産業医から業務負担軽減の勧告がなかった場合と使用者の安全配慮義務

Q7. 産業医の健康管理責任の程度と使用者の安全配慮義務

Q8. 外部委嘱の医療機関の医療過誤と使用者の安全配慮義務

  1. 健康診断における医師の医療水準
  2. 外部委嘱の医療機関の医療過誤と事業者の責任

Q9. 過労自殺における業務と自殺との因果関係

  1. 精神障害による自殺と業務との因果関係
  2. 判例にみる過労自殺における業務との相当因果関係(相当因果関係の認定枠組)
    (1)相当因果関係を認定した裁判例
    (2)相当因果関係を否定した裁判例
    (3)裁判例からみた長時間・過重労働によるうつ病自殺と相当因果関係の認定枠組
    (4)相当因果関係の判断における業務の過重性の判断基準となる「労働者」

Q10. 療養開始後、長期間経過しても寛解しない場合と疾病の業務起因性

  1. 業務上外及び治癒認定の機関
  2. 業務上の疾病が長期間治癒認定されない場合における民事上の責任追及に対する使用者の対応

Q11. 過労自殺と使用者の予見可能性

  1. うつ病による自殺の予見可能性の有無と安全配慮義務違反の成否
  2. 長時間・過重労働によるうつ病自殺の場合
    (1)明らかな長時間過重労働の場合
    (2)長時間・過重労働といえるか否かが問題となる場合
  3. 長時間・過重労働によるとは認められない自殺の場合

Q12. 過労自殺における損害賠償と労働者の性格等を理由とする過失相殺

  1. 過失相殺の理論
  2. 過労自殺における過失相殺と判断要素
    (1)電通事件最高裁判例とその流れをくむ裁判例
    (2)過失相殺・素因減額の対象となる事情と裁判例における取扱い
    (3)過失相殺・素因減額の対象として問題となる事例

Q13. 使用者の安全配慮義務違反による労働者のうつ病発症に伴う休職と休職期間中の賃金請求権の有無

  1. 業務上の疾病による休業が使用者の安全配慮義務違反による場合と賃金請求権の有無
  2. 業務によるうつ病発症について使用者に安全配慮義務違反がある場合と労働者の欠勤・休職期間中の賃金請求権の帰趨
    (1)労務提供の不能と民法536条2項の適用の可否
    (2)労災保険に関する使用者の保険者利益が奪われること
    (3)過失相殺・素因減額をなしえない不利益

第10章 メンタルヘルス不調の防止策とメンタルヘルス対応を踏まえた就業規則の整備

Q1. 職場におけるメンタルヘルス不調の防止対策

  1. 労働時間の長さと精神障害の認定
  2. メンタルヘルス対策の充実・強化に向けた安衛法の改正について

Q2. メンタルヘルス対応を踏まえた就業規則の整備

  1. 休職発令要件(休職事由)の整備
  2. 受診命令の根拠
  3. 主治医との面談に関する規定
  4. 復職後再度の欠勤の場合の取扱い
  5. 再発と解雇に関する規定の整備
  6. メンタルヘルスによる休業の場合の賃金請求権に関する規定の整備

著者紹介

加茂善仁


加茂法律事務所 弁護士


1972年慶應義塾大学法学部卒業
1978年弁護士登録(第30期:第一東京弁護士会所属)
1986年加茂法律事務所開設 代表弁護士(現在に至る)
1998年経営法曹 常任幹事
2001年~2006年5月 同事務局次長
2006年同常任幹事(現在に至る)
2007年~2009年 東京リース(株)社外取締役
主に人事労務、会社法務、倒産法務等の分野を手掛ける。


主な著書


「賃金・賞与・退職金の実務 Q&A」三協法規 2011年6月
「Q&A労働法実務シリーズ6 解雇・退職 [第4版]」中央経済社 2011年5月
「最新 実務解説一問一答・民事再生法」青林書院:共著 2011年4月
「労働条件変更の実務 Q&A」三協法規 2009年12月



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