労働判例ジャーナル155号(2025年・2月)

■注目判例

経歴詐称を理由とする採用内定取消

アクセンチュア事件

■ポイント

 本件は,コンサルティング業務等を主たる事業とする会社(本件会社)から中途採用での採用内定を受けていた者(本件内定者)が,その後の経歴調査により虚偽の経歴の申告が判明したなどとして同内定を取り消されたことにつき,本件会社に対し,同内定取消しが無効であると主張し,雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認と,未払賃金などの支払を求めた事案である。
 本判決は,「バックグラウンドチェックを含む経歴調査により,単に,履歴書等の書類に虚偽の事実を記載し或いは真実を秘匿した事実が判明したのみならず,その結果,労働力の資質,能力を客観的合理的に見て誤認し,企業の秩序維持に支障をきたすおそれがあるものとされたとき,又は,企業の運営に当たり円滑な人間関係,相互信頼関係を維持できる性格を欠いていて企業内にとどめおくことができないほどの不正義性が認められる場合に限り,上記解約権の行使として有効なものと解すべきである」との判断枠組みを示した。

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目次

◆ 経歴詐称を理由とする採用内定取消

アクセンチュア事件

東京地裁(令和6年7月18日)判決

◆ 校長によるパワハラに基づく元教頭の損害賠償等請求が一部認められた例

さいたま市事件

大阪地裁(令和6年10月30日)判決

◆ 幹部職員らによる違法行為に基づく慰謝料等請求を一部認容した原判決が維持された例

宇部・山陽小野田消防組合事件

広島高裁(令和6年10月30日)判決

◆ 地位確認等請求を棄却し,損害賠償等請求を一部認容した原判決が維持された例

任天堂事件

大阪高裁(令和6年10月18日)判決

◆ 気分(感情)障害を発病後の自殺に基づく遺族給付不支給処分取消請求が斥けられた例

国・中央労基署長事件

大阪地裁(令和6年10月17日)判決

◆ 違法な組合活動参加を理由とする解雇無効地位確認等請求が斥けられた例

北川建材工業事件

大阪地裁(令和6年10月17日)判決

◆ 原判決を変更し,ハラスメント行為に基づく損害賠償等請求が一部認められた例

国立大学法人三重大学事件

名古屋高裁(令和6年10月3日)判決

◆ 不当利得返還請求,競業行為等に基づく損害賠償等請求が斥けられた例

あもる訪問看護ステーション事件

大阪地裁(令和6年10月1日)判決

◆ 大学教授の論文盗用を理由とする懲戒処分無効確認及び損害賠償等請求が斥けられた例

高知県公立大学法人事件

高知地裁(令和6年9月27日)判決

◆ 原判決を取り消し,遺族補償給付等不支給処分取消請求が認められた例

国・平塚労基署長事件

名古屋高裁(令和6年9月26日)判決

◆ 退職手当に関する正確な情報提供義務違反に基づく損害賠償等請求が斥けられた例

習志野市事件

千葉地裁(令和6年9月25日)判決

◆ 妄想型うつ病の発病後の自死に基づく葬祭料不支給処分取消請求が認められた例

国・瀬戸労基署長事件

名古屋高裁(令和6年9月12日)判決

◆ セクハラ行為を理由とする懲戒解雇無効地位確認等請求が斥けられた例

イーブロードコミュニケーションズ事件

東京地裁(令和6年7月30日)判決

◆ 試用期間中になされた解雇が無効であるとして,解雇無効地位確認請求が認められた例

テレシスネットワーク事件

東京地裁(令和6年7月24日)判決

◆ 教諭のセクハラ行為を理由とする懲戒処分無効確認等請求が斥けられた例

学校法人武蔵野大学事件

東京地裁(令和6年7月23日)判決

◆ 客とのトラブルに基づく会社に対する損害賠償等請求が斥けられた例

サイカパーキング事件

東京地裁(令和6年7月22日)判決

◆ 適格性欠如等を理由とする採用内定取消し無効地位確認等請求が斥けられた例

ブリッジワールドコンサルティング事件

東京地裁(令和6年7月17日)判決

◆ マンション管理人の未払割増賃金等支払請求が一部認められた例

インペリアル・コミュニティ事件

東京地裁(令和6年7月3日)判決

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