労働判例ジャーナル154号(2025年・1月)
■注目判例
正社員と嘱託再雇用社員の待遇の相違とパート有期法
JR九州事件
■ポイント
本件は,定年退職後もJR九州(本件会社)の嘱託再雇用社員として定年前と同種の業務に就労している者ら(本件嘱託再雇用社員)が,本件会社に対し,正社員との間における待遇の格差が短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パート有期法)8条に違反しており,これが是正されず放置されている旨主張して,民法709条に基づき,損害賠償金などの支払を求めた事案である。
本件のような正社員と継続雇用制度により再雇用された社員との待遇の相違についての判例としては,これまでに旧労契法20条の事案ではあるが,長澤運輸事件最判(平30・6・1)がある。
本判決も,基本的な判断枠組みとしては長澤運輸事件最判に従い,退職手当の支払を受け,老齢厚生年金の受給が予定されていること,待遇が労使交渉により決定されたこと,及び高年齢雇用継続基本給付金を受給することを「その他の事情」として考慮するとしている。
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目次
◆ 正社員と嘱託再雇用社員の待遇の相違とパート有期法
JR九州事件
福岡地裁(令和6年11月8日)判決
◆ 整理解雇は有効であるとして,解雇無効地位確認等請求が斥けられた例
豊富住建事件
大阪地裁(令和6年9月27日)判決
◆ 出向命令無効に基づく未払賃金等支払請求及び義務不存在確認請求が斥けられた例
東海旅客鉄道事件
大阪地裁(令和6年9月18日)判決
◆ 非違行為を理由とする懲戒解雇無効地位確認等請求が斥けられた例
Genki Global Dining Concepts(旧商号・元気寿司)事件
大阪地裁(令和6年9月17日)判決
◆ 同僚のセクハラに基づく慰謝料等請求が一部認められた例
NTT ExCパートナー事件
大阪地裁(令和6年9月13日)判決
◆ 一部期間除外賃金には当たらないとして,割増賃金差額分請求が一部認められた例
アヴァック事件
大阪地裁(令和6年9月13日)判決
◆ 原判決を変更し,時季変更権行使に基づく損害賠償等請求が一部認められた例
京王プラザホテル札幌事件
札幌高裁(令和6年9月13日)判決
◆ パワハラ,違法な退職勧奨は認められない等として損害賠償等請求が斥けられた例
D-design事件
大阪地裁(令和6年9月12日)判決
◆ 同僚の暴行による傷害に基づく療養補償給付等不支給処分が認められた例
国・豊橋労基署長事件
名古屋地裁(令和6年9月11日)判決
◆ 休職期間満了時の自動退職無効地位確認等請求が斥けられた例
七欧通信興業事件
東京地裁(令和6年6月28日)判決
◆ 出勤途中の傷害に基づく療養補償給付不支給処分取消請求が斥けられた例
国・王子労基署長事件
東京地裁(令和6年6月27日)判決
◆ 労働契約が締結されたとはいえないとして,解雇無効地位確認請求が斥けられた例
進和テック事件
東京地裁(令和6年6月26日)判決
◆ 勤務態度不良等を理由とする解雇無効地位確認等請求が斥けられた例
モルガン・スタンレー・グループ事件
東京地裁(令和6年6月27日)判決
◆ 有罪判決を受けた税務署元職員の退職手当不支給処分取消請求が斥けられた例
国・関東信越国税局長事件
東京地裁(令和6年6月24日)判決
◆ 職務懈怠・非違行為等を理由とする懲戒解雇無効地位確認等請求が認められた例
東月製菓事件
東京地裁(令和6年6月18日)判決
◆ 解雇無効地位確認等請求が斥けられたが,未払割増賃金等支払請求が一部認められた例
サイバーリーズン事件
東京地裁(令和6年6月13日)判決
◆ 管理監督者に該当するとして,未払割増賃金等支払請求が斥けられた例
SMAジャパン事件
東京地裁(令和6年3月28日)判決
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