労働判例ジャーナル127号(2022年・10月)

■注目判例

定年後再雇用の合意解除の有効性

ヤマサン食品工業事件

■ポイント

 本件は,定年後再雇用の合意があった従業員(本件従業員)が,譴責の懲戒処分を受けたことを理由に当該合意が解除され,本件従業員が再雇用されなかったという事案である。会社が破棄した理由は,再雇用の合意について,本件合意の破棄条項である「就業規則の定めに抵触した場合」(本件就業規則抵触条項)に該当するというものであった。
 本件従業員が基準年齢に達しておらず,労使協定の適用がないので,本件従業員の本件就業規則抵触条項に該当するとされる行為が解雇事由または退職事由に該当するかを検討し,結果的に本件合意の解除を無効と判断した。
 本件は,この制度改正の狭間において,会社が希望者との合意により就業規則抵触条項に該当する場合には,継続雇用の合意を解除するという仕組みを創設したことの有効性が焦点となった。本判決は,この合意を高年法の継続雇用制度の趣旨から限定解釈し,合意を解除するためには,解雇事由または退職事由に相当する事由があることを要するとし,本件解除を無効とした。

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目次

◆ 定年後再雇用の合意解除の有効性

ヤマサン食品工業事件

富山地裁(令和4年7月20日)判決

◆ 団体交渉を求める地位保全仮処分異議申立

函館バス事件

函館地裁(令和4年6月30日)決定

◆ 防衛省防衛研究所職員の国に対する損害賠償等請求

国・防衛省防衛研究所事件

東京高裁(令和4年5月11日)判決

◆ パワハラに基づく損害賠償等請求

大阪市事件

大阪地裁(令和4年4月22日)判決

◆ 給与の履行遅滞に基づく損害賠償等請求

京都府事件

大阪高裁(令和4年4月15日)判決

◆ 重大な債務不履行の繰り返しと解雇の有効性

学校法人新潟科学技術学園事件

新潟地裁(令和4年3月28日)判決

◆ 非違行為を理由とする懲戒解雇の有効性

シークス事件

大阪地裁(令和4年3月28日)判決

◆ 研修医の自殺に対する損害賠償等請求

新潟市事件

新潟地裁(令和4年3月25日)判決

◆ 安全配慮義務違反に基づく損害賠償等請求

九電ハイテック事件

福岡地裁(令和4年3月24日)判決

◆パワハラ行為に基づく損害賠償請求

明日香村事件

奈良地裁(令和4年3月24日)判決

◆ 職務能力不足等を理由とする解雇の有効性

ダイワクリエイト事件

東京地裁(令和4年3月23日)判決

◆ パワハラ・プライバシー侵害に基づく損害賠償等請求

沖縄医療生活協同組合労働組合ほか事件

那覇地裁(令和4年3月23日)判決

◆ 退職扱い無効地位確認等請求

日本生命保険事件

東京地裁(令和4年3月17日)判決

◆ 整理解雇の有効性

ニューアート・テクノロジー事件

東京地裁(令和4年3月16日)判決

◆ 賃金規程変更の効力

インターメディア事件

東京地裁(令和4年3月2日)判決

◆ 旧時給表が適用される地位確認等請求

アンスティチュ・フランセ日本事件

東京地裁(令和4年2月25日)判決

◆ 多数回にわたる業務指示拒否等を理由とする解雇の有効性

グラビティ事件

東京地裁(令和4年2月25日)判決

◆ 解雇無効及び無期労働契約転換後の地位確認等請求

DRPネットワーク事件

東京地裁(令和4年2月25日)判決

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